― 帝国前進拠点 ―[懐中時計を取り出して見れば丁度一刻経った頃か。タイピンを留めなおして外に出ると、部下が一人立っていた。どうにも中に入るタイミングだったらしい様子は見て取れる。]北の平地の様子は?草は生えていたか?[部下が口を開く前に、逆に問うと「いいえ」の答えが返った。]秋に焼いた成果は出たようだな。これで北からの経路が少しでも狭まればいい。[そう呟くと、まだ物言いたげな部下の様子に眉をひそめる。]何だ、報告があるのか?