― モンテリー砦・演習場 ―
増えやしないよ。お前が大人しく来るならね。
約束したっていいよ?
[からかう口調で続ける。魔は、息を切らすことがない。だから動きながらも舌は止まらない。
弾いた刃は、そのまま回転するようにして戻って来た。
驚くべき力、そして技量の高さだ。面白そうにそれを観察していたが、その速度に避けきれぬと知ると、魔はやはりそれを受け止めんとする挙に出た。今度は腕ではない。刃に闇を凝らせ、大剣をその場に留めようというのだ。]
お前にまで──…
使いたくはなかったが。
[そうして、少し動きが止まればその場に放り投げられるのは黒い魔石。ロー・シェンの時と同じく、術を仕掛けて捕らえんというのだ。]