[ヒュー、ヒュー、と、いつか唇から息が漏れていることも気付かなかった。]
父様、兄様…
[口をついて出たのは、呼び掛けでもなく。自分はちゃんと、軍に連なる一族として、その本懐を遂げられているのかということ。溌剌とした学兵(>>0:7)、彼女に何かを伝えてあげることはできたのか、口少なに、それでも此方を見てくれていた上官(>>175)、そして]
(ああいう方のように、なりたかった)
[出会った初日の、金糸の上官の厚情に触れ(>>0:275)。尽くしたいと思ったこと。喉から漏れる息の熱さに襟元を弄るが、不思議と顔に苦悶はなかった。]
[ヒュ…と最後の息が漏れた。]**