お見事、勇者殿。[ 軽い声音で口にしてから、小さくため息をついた ]毎度限界ぎりぎりの真似は相変わらず感心しないが、な。[ 褒めた後で、余計な一言を付け加えてしまうのは、生来の性格と、心に潜めた不安のせいだ。クロートはいつも全力で、決して後ろを振り返らない。けれど、全力振り絞ったその先に、本当に余力を残そうとすらしないから、信じてはいても、度々肝が冷える心地がする ]