いえいえ、ご謙遜なさらずとも。
お父上のパンは確かに美味ですが、オットーさんも着実に上達なさっているとお聞きします。
[素の自分を知られている人の前でわざわざ裏表を分けなくても良いのに、と我ながら思わなくもないが、意識的にオンオフを切り替えないと公の場で口の悪さがうっかり出てしまうのだった。現に今でも微妙に切り替えきれていない。
まさか若い頃、オットーに勢い任せに言った言葉をそんな風>>217に解釈されているとは本人は知る由もなかった。]
――そう言えば、先ほどこの村に訪ねてきた旅人さんとお会いしましたよ。
この村のパン屋を探されているようでしたので、もしかしたら後々そちらを訪ねられるかもしれませんね。
[そう伝えておく。宿屋に向かうオットーに挨拶し、そのまま別れるだろう*]