[ 小娘一人の噂話で
此れほど民の間に不穏が広まることが。
人の心の移ろいやすさが。怖いと思っていた。 ]
一月も前は穏やかな街だったのに
たった一人、人が居なくなっただけで
此れほどまで雰囲気が変わってしまう。
[ ぱちりと一つ、
ローレルは瞬きをして彼の人を見つめる。 ]
…ウェルシュ殿下、貴方は
国王陛下がラメールの民に殺されたと
もしもそんな真実が明るみに出たとしても
民を愛すことが出来ますか?
"真実"を受け入れることが出来ますか?
[ "何も知らない画家"
という体の不安の色が浮いた双眸で。 ]