[幼い頃の遊びは、駆け回り動き回るものの方が多かったが。
その合間、国の外の事を問われれば、自分の知る限りを話した。
ここにはないものの話、異国の逸話。
違う場所の、違う色の空や森の話。
そこには、旅暮らしの苦労話も交ぜられて]
それでもまだ、行った事ないとこ、いっぱいあるんだぜ?
[外の話に感心されれば、そう言って笑って、それから]
見てないとこも、見てみたいって、たまに思うけど。
今は、『ここ』がいいからな。
[迷いなく告げる言葉は友に、そして時には一緒に遊んだ領主の子息にどのように響いたか。
その頃は特に気にする事はなく。
今は──前者には問うまでもない気がするし、後者には問う術も、ない。*]