― 緊急脱出口 ―
[手際よく準備を済ませ、こちらを向くソマリに笑みを向けて。
手を差し出そうとしたそのとき……。]
きゃ!!
[正直びっくりした。
だだだって、お姫様抱っこなんて、そんなそんな……。
驚いたような顔をして、おそらく耳まで真っ赤に染まる。
でも、降ろしてと言わなかったのは、きっと……嬉しかったから。
……よろしくね、と、照れながらもそう言って、彼の首に手を回そうか。
さぁ出発だ。
イタズラっ子のような笑みを浮かべて、彼にこくりと頷いて、ソマリの浮かべた自然な笑みを、ふふふ、と笑って受け止めた。
カレル、クレメンス、ヴィクトリア、ツェーザル、ロー……。
残った人の顔を思い浮かべ、心の中でさようならを。
そして、もう。
どきどきと高鳴る胸を隠すことはしない。
いざゆかん、宇宙の旅路へ。
きっと……
振り返ることはないだろう……。*]