― 天上宮・城下 ―
[生まれて間もない眷属は、同じ眷属の名を知らない。
否、それ以前に己の名すら持ってはいない。
故に、カスパルの名に反応する事はなかったのだが。>>216]
『……くるぅ?』
[それでも、主以外に同じ気を持ち、同じ根源を持つ者がいるのは感じていた。
だから、誰かが己を探している、という言葉>>217に引っかかりを覚えて動きを止め]
『…………』
[じぃぃぃ、と。
下から冬花を見上げる時間は如何ほどか。
やがて、小さき朱雀はぴょい、と自分の左手を差し出して]
『……どこ?』
[唐突に口にするのは、短い言葉。
こて、と首を傾げる姿は、どこに行けばいいの? と問うかの如く。*]