― クリーク砦 ―
[仰ぐ旗違えど───>>193、と。
過ぎった思いは恐らくは、そう変わりなかっただろう。
或いは出会い方さえ違ったなら、
親しき友とも呼べたのやも知れぬ、と。
思うのは切っ先の心地良い迷いのなさに。
───ぶん!と薙いだ穂先が、将の左腿を抉った。
肉を裂く手応えが柄から伝わる。
勢いついた槍を引き戻す動作は常よりもやや手間取った。
それは向こうも変わらぬらしい、男二人は軽くよろめくように地を踏みしめながら、それでも倒れず対峙する。]
( だが 譲りは、すまい。)
[互いにだ。相手もそれを知るゆえだろう、言葉はない。
ただ一瞬一瞬、交わす刃に己が誇りと命を打ち込む。]