いただきまーす。
[たっぷりとソースを絡めたあつあつの球体に爪楊枝を刺し、
顔を近付けながら持ち上げて口に運ぼうとしたが、ころり。
細い木では重さを支えきれなかったらしく生地が皿の上に落ち、
具のタコだけが爪楊枝に残された。]
……ま、まあこんなこともあるよな。
[哀しげに揺れるタコを咀嚼し、それだけでも美味かったが
やはり本命はたこと生地が一体化したたこ焼き。
気を取り直して穴の開いた生地に楊枝を突き刺し──また落下。
箸を使おうとしたがそもそも割れず、割れた所で左手ではろくに掴めない現状を正しく理解して肩を落とす。
左右や後ろを向き、座敷が他の客から見えないのを確認し。]