…ずるいなあ、カサンドラは。
[ 漸く一言目に成ったのはそんな言葉だった。 ]
そんなことを言われたら、自惚れてしまうよ
君が僕との再会を楽しみにしていてくれたんだ、って。
[ 愛おしいと思う。
会いたいと、また逢えたらと
船を下りることになった日、
思ったままに。…今も。
彼女をひと目では見つけられなかったけれど
話していればいるほど、愛おしいと思う。
その。彼女の緩んだ頬に手を伸ばして――そのまま、
…そんな相反する欲望には気付かない振りをして。 ]
ね、あの時言わなかった僕の一番好きな花。
……教えてあげようか?
[ 昔々、あの小さな船室の扉越しに、
ずっとはぐらかし続けてきた花の名前。
口実はもう必要が無いだろう?って、
言いはしないけれど、緩く首を傾げて聞いた。
凛々しくて、強い。
彼女のことは心の底からそう思う。
例え、彼女自身がどう思っていたとしても。>>181 ]