[愛用の銃には、普段は幾つかの制限がかけられている。
技量的に不安な部分をロックしてある、とは、製作者たる兄の弁であり、それを解除できるだけの技術と使いこなせるだけの技量を身に着けろ、という、課題のようなものまでもらっている。
そして技量はともかく、技術的に解析に至れぬが故に、必要な時には蛍石の力を借りてリミッターを解除するのが常となっていた]
……今度は、さっきとは一味違うよ……!
[言いながら狙い定めるのは龍の眉間。
上がる銃口に気付いたのか、『雲翳』はこちらに向けて首を伸ばしてくる。
どうやらその牙に捕えん、としての事のようだが]
……真っ向勝負と、いこうじゃないか!
[それを避ける素振りは見せず、引き金を引く。
先ほどまでよりも大きく響く銃声と共に撃ち出された弾丸が龍の額を撃ち抜き、それと共に、小柄な身体が反動で後ろに吹っ飛んだ。*]