[駄々をこねながら、その表面だけは愛らしく可愛らしくねだる子供に竜は首を横に振った。邪悪を含むこの子供に渡せば何をされるかは、子供自身が語っている。竜は愚者ではなかった。]
あたしは名前も名乗らず勝手に鱗を盗もうとするような、
礼儀のなってない小僧に鱗をやる義理も、
殺されてやる義理もないね。
さぁ、勝手にここに入って来た事は水に流してやろう。
さっさとお帰り!
[竜は吠えるように白肌の黒エルフへと怒鳴りつけた。
同時にそれは呪と動作となり、子供を結界の外へ吹き飛ばさんとする勢いで、その前面に突風が噴きかかった。]