―孤児院の庭―[孤児院には時々足を向けていた。ジークムントと一緒の時もあるし、一人の時もある。孤児院の主であるナネッテと親しくなってからは回数としては一人で訪れる方に天秤が傾いていた。最初は余所余所しかった子供たちが、少しずつ、顔を覚えてくれて、おずおず近寄ってきたりする。もの珍しそうに、じーーーーっと見つめてくる子がいれば、『ジークムント様はわたさない!』と対抗心顕わな子もいる。ジルにしてみれば、どちらも可愛いの一言なのだけど]