― 回想:8年前 ―
[思えばマーティンらとこうして酒を飲み交わして、もう8年になる。
ディークがエディを連れ、キュベルドンのクマことマーティンを従えて戻ってきて以来のことだ。
そう8年前、クマ退治に男は同行していない。
しそびれた───というよりは、気づいた時には少年らはクマ退治を終えて戻ってきていたというのが正しい。
やって来た豪快なクマを眺めて、男は軽く眉を上げた。
ディークは今は森の民に紛れ暮らすとはいえ、その素性はラモーラルを統べるべき王の血筋だ。
その一党たるに相応しき器たるや否や。
あからさまにそう値踏みする視線は、クマにとって愉快なものであったとは思い難い。]