……ごめんな、さい。
[彼が隣に座ったのなら、開口一番にそう切り出した。]
役に立たなくて……ごめんなさい。
もう二度と顔を見せるなって……リーダーにも、言われてた、のに……。
でも……たくさん助けてくれて……ありが、とう。
ずっと……お礼が……言いたかった……。
[紅茶の湖面を見つめながら、ポツリ、ポツリと語る。
あの頃はこんな風に二人で話したことはあっただろうか。もしあったとしても、このエルフには相手を話術で楽しませることなどは到底出来なかっただろう。
むしろいつもモンスター用の罠やダンジョンの仕掛けに引っかかってばかりいる鈍くささに迷惑をかけ通しだったに違いない。罠で怪我をすれば尻拭いはプリーストに回ってくるのだろうから。
それに対するお礼とお詫びもロクに言えなかったことも、このエルフにとっては心残りとなっていたようだ。]