[そして、ふ、と、思い付きを口にした。]
よければ、先王の餞けに。
付き合ってはいただけませんか。
[その、餞けに差し出すつもりの、小さな装飾と花束を彼にも見易くなるだろう、顔の横に手ごと上げて、僅か左右に振ってみせた。
…油断していた、とも言えよう。
あの国が滅んで、悠に10年は経っていたものだから、「いくら外務長官でも」、と。
見せれば出自が薄らと浮き彫りになる事を、俺は考えていなかった。
(不幸中の幸いは、白雪が逃げていた事だろう。
あの国において白鷹は、王侯貴族しか所有してはいけないと決まっていたのだから。)]*