― 第2エリア・通路 ―
[ 彼女と懐かしい話をしているだけで、
彼女の笑顔>>180を見ているだけで、
何もなかったように…数年前に、あの頃に、
帰れるような、そんな錯覚すら覚えたけれど。
背の高低で開いてしまった距離や、
ロー・シェンの立場。カサンドラの立場。
全てが全てあのときのままではないと、
どうしても実感してしまうタイミングがやって来る。
( 格好良いと言われる資格なんか無いのに )
きっと彼女は本心から言ってくれているのだろうと
その言葉からも、表情からも何となく分かって。
だけれど、己はかつて出会った時から
彼女に言うことのなかった秘密があったから
言葉通り、素直に彼女の気持ちを受け取れなかった。
拗ねた振り、困った振りで誤魔化してきた。
( 言ってしまったらきっと二度と会えなくなるから ) ]
…そうそう、いっそ格好の悪い男ってことにでもしといてくれよ
[ 今も。昔のように唇を引き結んで、苦笑を溢したら
変わってないわねという言葉に舌を軽く出して見せて。 ]