[>>213 気付かれてしまっただろうか。
男は口を閉ざしたまま、眉尻を下げる。
ニコラスは、『人狼』の存在を信じているのだろうか。
それとも、ただのお伽話だと思っているのだろうか。
どちらにせよ、人狼が実在する――なんて、
簡単に口にできる事ではない。
下手に不安を植えつける事も、
彼に心配をかける事も、したくはないのだ。]
ん、ああ、そっか。傷を見ないと、薬も選べないからな。
[左足と左目の傷がじくりと痛んだような気がして、
眉をしかめながらもベッドへと腰を下ろす。
足に巻かれた包帯をゆっくりと解いていき、
暫くすれば見えてくるのは脹脛を抉ったような大きな傷跡。
大分塞がってきてはいるものの、
怪我を見慣れていないものが見れば、嫌悪を覚えるかもしれない。]