なに遠慮するな。
私とお前の中じゃないか、はははっ。
[思い返せば目の前の青年が両親を亡くしてこの村を出るまでは、
よく森や村の中を散策して回ったものだった。
嫌がるディーターに冬眠中の蛇を投げつけたり、
嫌がるディーターを川の中に引きずり込んだり、
嫌がるディーターと村長の家に忍び込んでは置き去りにして、
それはそれは微笑ましく懐かしい思い出が胸によぎる]
しかしお前もいい年なんだし、
嫁の一人や二人、誰かいないのか?
幼馴染として、このまま男やもめで終わるのではないかと心配だぞ。
[ばんばんっと勢いよく、ディーターの背中を叩く。
子供の頃と変わらぬ風景がそこにあった]