[ 彼に触れられるのも名を呼ばれるのも
今や羽ばたいてしまいそうな程に
喜びを示してしまうものだった。
充ち足りているに違いないのに、
それでも様々な事に気を注ぐ様は
何度繰り返しても学習後にやはり行う。
だが、彼に向ける情は
他と比べ物にならない強いものだった。
同列に扱えないかけがえのない幸せ。
しかし幸福であると同時に
罪悪感を得てしまう魂が憎い。
彼と共に二人で在れて
出来る事なら彼の傍でその背を抱いて
彼と一緒に充ちて充たされてを求め合いたい。
紛れもない真実だと云うのに
難儀なものだった。 ]