[ 覗かれるのが嫌いとは以前も耳にした。
彼は自らの内側について疎い気はしていたが、
これ程までに自身というテリトリーを
遵守しているのだろうかと瞬きを繰り返す。
今も、覗かれる事はいやなのだろうか。
いや、それならここに連れてくる事はない筈だ。
しがみついていたのは体だけではなかった。
押し黙る中にも沢山の考えは浮かんでいた。 ]
籠の中に閉じ込めなくたってぼくは――
でも、……もし、覗かれたくないと言うなら、
この眸を塞いで。
[ ただの喩え話だろうに真面目な声をして答えた。
どうにもこうにも情緒が不安定で定まらない。
そしてようやっと気付くのだ。
彼の加護を得ようと籠は求めない。
愛玩ではなく彼と対等に在りたい。
言葉の綾と理解しながらも切々と
彼に対する鈍い痛みを伴う想いを
募らせて拗らせていた。 ]