今は、――……あなたが足りない。[ 掠れるような声が彼の頬を撫でる。 ] 足りないんだ、クレメンス。[ 絡めた足は彼の背に。 色づく息は彼の唇に。 瞳の中に咲くのは青薔薇。 与えるのは神の祝福ではない。 だが、この身に起きた奇跡を望むよう 彼だけに全てを捧げる心に迷いはなかった。 ]*