手枷…… 外すから手を出せ。
[主に言って鍵を出してもらえば済むだけの話なのに、なぜかもう一度、彼が嫌がった部屋に戻る気になれなくて腰の剣に手を伸ばす。
動くな、と一言呟けば、剣を翻らせて彼の手の間を繋いでいる鎖だけを切り捨てた。
鉄製のカフは我慢してもらおう。後ほど自分だけ主のところに行ってなんとかするつもりだったが]
ふん、こんなことして自分が逃げないのかとか思っているだろう。
逃げられるものなら逃げればいい。お前が他の魔物に食われて死ぬだけだからな。
それと───。
[煌く目。黒の縁だけが銀色に光って目の前の天使を見つめれば、その魂を震わせて。
一瞬だけ彼の動きを支配する]