─ 回想 ─……マリィ…[今置き去りにしたばかりの、大切な彼女の名を紡ぐ。覚えていてくれて嬉しかった。会えたことを喜んでくれて嬉しかった。何より自分自身、彼女とまた会えたことがこんなに嬉しくて、嬉しいのに。心無い言葉を投げたことも、傷ついただろう彼女を置き去りにしたことも、苦しくて。でも。傷つけた自分が泣く権利なんて無いと、唇を強く噛んで耐えた。そして。この日を境に、人見知りだったリーゼロッテはいなくなり。あの帽子を被ることも、無くなった**]