なあ、お前ベルフィか?
ジュードはどうした?近くにいるんじゃないのか。
[問いかけても、当然ながら返答はない。まさか迷子と脳裏をよぎったが、彼らの間にはあの笛がある。
それはないだろうと思い返して首を傾げた。
幾らこの鳥が──”彼女”とは知らなかったが!──ベルフィとして、さてこの白雪の主はどこにいるのやら。案内を乞うにも難しかろうと、思案する間。
何かを思いついた顔で、ウェルシュは空いた手で自らの服を引っ張った。あまり白鷹を脅かさないよう気を付けて、どうにかこうにか飾りの紐を引っこ抜くことに成功する。それを次は慎重にベルフィの足元に巻きつければ完成だ。
白雪の足に巻き付いたのは、金の紐。そう手に入る代物ではないことは一目瞭然、これを見れば白雪の主に意図は通じるものと願った。
一連の作業の間、彼女の鋭い爪に引っかかれず済んだのは幸いであったろう。或いはそれは、古馴染みへの鷹なりのお目溢し…であったのかは、翼持たぬヒトの知らぬことだけれど。]