―――…撮るのは好きなのに、撮られるのは厭なのか。
[構えたスマートフォンに映るのは彼女の横顔。
笑気を噛みつつ、ピントを合わせ、目元へズーム。>>206]
朝から揃ってブルーベリー色の顔をしていたが、
相変わらず一蓮托生らしい。難儀なことだ。
あれではどちらが犬と云うより、セットで仔犬のような。
[とうとう行方を眩ます飼い主の立場。正しくワンセット。
遠い地でクラスメイトに向けて悪態を吐き出す兄は、
不調に見えた二人を慮る事も無く、爽快な笑みを胡散臭く敷き、
悉く鹿に襲われろ。と、分かり易くも安易な呪いを掛けておいた。
神聖な寺前で全く罰当たりな男である。]