― 街で ―
[ 街の空気は一か月で大きく変わっていた。
"国王陛下は暗殺された"
以前、そのような噂を囁いたことはある。
常ならば――平和な時勢であれば
民の多くが笑って流してしまえるような噂。
けれど、噂からしばらく、
実際に王の死の報せは民に届いた。
そして…その死因は今も公表されていない。
それでは民草の不安が拭えるはずもない。
この国はどうなってしまうのだろうと、
常に誰かが囁いているような空気。
人通りも心なしか少なくなり、
ぴりぴりと肌を刺すような気配だけが在る。 ]