………お前、まさか。
[>>209寝台に荷物を下ろす手は震えている。
居も知れぬ人狼などよりは、戦場に身を置いていた彼ならば、
もっと恐怖に戦くものは他にあるだろうにと。
だから、人狼に対して存在を否定しない様を見れば――
いや、思いすごしか?と生真面目な彼を思えば、
お伽話のような不穏を口にした男に対し真剣に捉えているのかとも。
そこで、『縫合のされていない傷口』の潜んでいる、
包帯に巻かれた片足に、目が向く。
まさか。]
…そうだな。
ああ、
…持ってくる薬をどれにするか考えないとならないから。
[傷口だけ先に診ようと進言しながら、
男の相貌は食い入るようにその足を見ていた。]