―12,3年前―
[既にあの頃には父と同じ薬師になろうと勉強に励み、
父の仕事を手伝っていた。
父はそれなりに名の知れた薬師であった。
医師から、このような薬を作れないだろうか、と相談を受けることもあったようだ。
その席に同席することはなかったが、訪れる医師の顔は部屋の奥から何となく眺めていた。
話を聞いていれば自分の勉強にもなるとも思っていたから聞き耳を立てていたといってもいい。
その中の一人にリエヴルはいた。
父と同じ位かそれ以上の歳の医師が多い中その若さと熱心さは、
自分の目にはとても新鮮に映った。
だから、いつになく気になって父に尋ねたことがあった。]
彼は誰?