[川の南側、その東側では川から上がって槍隊に突きかからんとする兵と、それを防がんとする軽歩兵との間で小競り合いが起きはじめている>>155
草を食んでいるところを追われた羊が、めぇぇと鳴いた。
一頭が警戒の声をあげれば他も従うのは草食動物の性、めぇぇと声上げる羊たちはうろうろと落ち着きなく歩き始めた。それに吠え掛かる牧羊犬の吼え声が、戦いの合間に響く。
年若い兵が一人、川から上がった。
不幸にも戦闘に巻き込まれた羊が一頭、一際高い声をあげて地面に倒れた。それを見て彼は顔色を変えた。]
『羊に手ぇ出してんじゃねえ!!!』
[叫んだ彼は、遊牧の出だ。
その声に怯んだ軽歩兵が一人、突き倒された。]