[ 言葉通りぽっかりと浮かぶ古城以外に
建築物が見当たらない土地>>201
それはかつて祝福を与えた大地とは裏腹に
吹き抜ける風ばかりが頬に吹き荒ぶような
淋しさをこの身に浮かばせた。 ]
……そうだね。
ぼくが天から覗いたり、地上で触れた
営みとは、少し違う。
ぼくの知るあの場所は、
争いばかりを繰り返す愚か者の集まりでもあったけれど、
そこには束の間の笑顔や喜びも溢れていた。
[ 一度そこで唇を結んだ。
おざなりに伸ばした手は彼の頭上の伸びる。 ]
でもきっと、それも変わる。
あなた一人の営みではもうないから。
[ 慰めるとはまた異なった。
ただ単に触れたくなっただけだった。
解けた唇が描く弧は何処までもまろやかだった。 ]