[ 悔いは、――あるにはある。
あの時、彼と出会わなければ、
ぼくの運命は変わりやしなかった。
永遠の安寧に寄り添いながら
日々を過ごしていたのだろう。
だが、彼と出会ってしまった。
壊れた日々は未来永劫戻る事はない。
その事を怒らず憎める程の慈悲は、
彼によって奪い取られてしまった。
だが、この混沌に苦しむ姿も彼はきっと
喰らってくれるのだろう。
血と骨と肉を、あいしてくれるのだろう。
ならば、ぼくはぼくのままの全てを
彼に捧げよう。
だから、その代わりに彼を深淵より
奪い去る。 ]