[ 結局、船内の警備員に見つかって、誘拐は失敗した。
助けてくれた警備員は、どこか残念そうに泣く小さな子どもの
頭を撫でてくれたような気がする。
大きな掌は、あたたかかったような>>0:66
撫でて貰ったことなどなかったから、
子どもはびっくりして……余計に泣きだしてしまった。
父親の影響で大人の男の人が怖かったけれど
その警備員のことは、不思議と怖いとは感じずに。
もしも、怖くないお父さんがいたら、こんな風だったろうかと。
少しだけ、思った。 ]