― それから ―[籠の中の鳥は教養と躾を受け、舞踊の芸をも伸ばされた。殆どは主人の為に舞うことを強要されたが、気まぐれに表へ連れていかれる事もあった。ある日のこと、親睦のある伯爵家に同行させられた。彼らの談笑の前で、仕込まれた舞踊を披露することに。時折その家には同行させられ、屋敷内で伯爵の家族と通りすがる事もあったか。物憂げに通路の窓辺に佇む屋敷の次男坊を見て、足を留める。視線に気づいた彼に、流れる髪はそのままに一礼をし柔らかく笑った*]