―回想:白い花束―
(へぇ……真っ白。)
[何か遠くを思い出すかのような優しい手つきで、彼の手に一本一本納まる白い花。>>122
カスミソウにカーネーションに、マーガレット。
勿論何色か色も用意している中で、彼が手に取ったのは全て真っ白な花たちだった。
清らかな心、私の愛情は生きている、心に秘めた愛。
誰かを思う言葉をもつ花たちが、彼の手の中で一つに合わさる。
まだ店を開きたての頃だったので、ペラペラと花の本をめくりながら、彼の選ぶ花を眺めている。]
(……いいセンスしてるわね。)
[不躾にもジロジロとみてしまっただろうか。
それでも彼は白い花たちを差し出して、花束にと告げたのだった。]
……奥にも、まだ白い花あるわよ。
[ポツリと呟くように、彼にそう言ったのが、初めての会話だったかな。彼がどう答えたか、それは定かではない。
しかし以来、ついついその日、店に並ぶラインナップには白い花が多くなる。
彼がそれを望んでいようがいまいが、何となく店に出す花が淡い色になってしまうのだ。
そして、たまに……。
鮮烈な白の中に鮮やかに映える青色。
ブルースター。
花言葉は、信じあう心。……身を切る思い。]