[耳打ちされた言葉に、一旦は苦悶にも似た色をその色素の薄い双玉に浮かべたが。
それを断る事は、なかった。]
…それでは、忙しい限りですが。
失礼させて戴きます。
[監査局長様とはどう話が進んでいるのか、とか。
あの遺書に等しい公文書は何処まで正しいのか、とか。
聞きたい事は山ほどあったが、尋ねる訳にはいかないと思っているからこそ立ち去ろうとするだろう。
敬う態度は確かに残したままの、けれども飄々とした様子は変わらずに、白鷹を伴って現れた時を全く逆にした儘のように。
呼び止められたなら、当然留まるが、別段何もなければ多忙らしい参謀様の前を辞そうとする。]*