― 現在・クリーク砦 ―
[あともう少しだけ。
これ以上は近寄れないというところまで接近を。
そう思う馬上の人間より、馬のほうが危機を察するのは早かった。
地面に一本の矢が落ちると、ほぼ同時に馬は急激に動きを止める。
振り落とされないように手綱で姿勢を制御しつつ、何が起きたかに気づくと、砦の見張り台があるあたりに一瞬目をやり。
その場で馬を旋回させ、全速力で馬を谷の方面に向かって走らせる。
射手が2本目の矢を番える間に逃げなければ、次はどうなるか。
今回はたまたま矢が届かなかったからよかったものの]