[燃えあがる橋の中央で、盟主は苦心して馬を宥め、御す。馬の暴走はなんとか避け得ても、前にも後ろにも炎の道が続いていた。後ろに視線をやり、髪に移った火を払い落として盟主は前を向く。] ゼーレ。頼む。 おまえが運んだ風を思い出せ。[馬の耳にささやきかけ、首筋に手を置いて馬と鼓動を合わせる。月毛の馬は一つ嘶くと、炎の橋を疾走し始めた。]