[それは相変わらずも窓枠に座っていた時の事。
─ 少し後の事 ─
明らかに軍部の人と分かる姿の人が呼ぶのを聞き付けた。>>189]
扨、御呼びは… 参謀様、かな。
[哀れ、呼びに来た部下はその場に放った儘に、呼び出し主と踏んだ彼の元へ、屋根上から飛び降りる猫の如くか、或いは掴まらぬ風の様と映るか。
彼より一定の距離を保った所に膝を突いて、頭は垂れた儘に述べる。]
…只今参りました、レグザ様。
[自由に見えるのは恐らく、己を縛るものを喪っているからだ。
(それは、言い換えれば転石が苔を生やさないに等しく。
何処にでも行ける代わりに何処にも染まれない事でもある。)]