一波乱ですか?
[想定していなかったのか、素っ頓狂な声をあげている。
王宮内に蔓延る計略はできるだけ排除しようと思っての今の地位だ。
いつか来るその日が安寧であるようにといつもこぼしていた]
あなた方、ご兄弟は仲が良いと存じております。
王位継承が誰になろうと陛下がお決めになったこと。
私は陛下をお慕いしております。
その命には従うほかありませんよ。
[王子様の背中に語りかければ、ちらりと城を――
もしかしたら、城内にいるであろう陛下を見やった。
もし、王子様が振り返るなら真っ直ぐと目を見て、
言っただろう。
彼の言葉には嘘偽りはなかった。
――正しく言うと彼は嘘偽りを言えるほど器用ではない]