[父は早くに亡くし、長兄は早世。
8歳上の双子の次兄たちはそれぞれ帝国と公国に仕えていたが、つい先日相討ちとなって果てたと聞いた。
帝国と公国、両方から『教官職を辞め、兄の跡を継いで仕えろ』というような辞令が届いたのは、つい1週間前。
次兄たちの死の翌日のことだった]
さて。どうすっかなー。
[荷物をまとめはしたものの。
実は、まだどちらの国に行くか決めていなかった。
諜報、暗殺、護衛など。
こちらに移住してきた曽祖父から父の代までは、金さえ貰えば帝国・公国どちらの依頼にも応じていた。
立場をはっきりさせろと両国からしつこく言われ、8歳上の兄たちが帝国と公国にそれぞれ仕えた。
自分は、この学校で中立を保ちたかったが。情勢がそれを赦さない。
どちらの国にも義理がある。
どちらの国にもかわいい教え子たちがいる。
どちらにも行きたいし、どちらにも行きたくない…というのが本音だ]