[窓の外から見えるのは果てしなき深淵。
飛び降りた瞬間から星空を満喫することは適わないだろうが、
贅沢も言っていられない。
この身が何秒持つかは不明だが、己もカサンドラも、
通常の人間よりは遥かに生命力は高い。
最期にガルーの遺伝子に感謝することになろうとは、
運命とは皮肉なものである。]
……さあ、行こうか。
大丈夫、俺は紳士だからエスコートはしっかりさせてもらう。
離さないから、心配しなくていい。
[紳士然と気取り、彼女を通称お姫様抱っこで抱きかかえよう。
ドアが開くまで後数秒。
どくどくと心臓が脈打つ。
それは不安からでは無く、新たな旅立ちへの希望。
二人を縛るものはこの先何も存在しない。
こくり、彼女の顔を見て大丈夫だと微笑みを。
きっと今までの中で、一番自然な笑みを浮かべられただろう。*]