[次の準備を急ぐ騎士団から離れ、ヤコブは騎士公館へ赴いている。シンクレア卿に後事を託すためだ。] それじゃ、あとは任せた。[引き継ぎは、たいへんあっさりとしたものだった。既に互いに、この後のことはよく理解している。ヤコブが"門"へ行く。"門"が閉じるまで、騎士団は盟主の不在を隠し、魔軍の侵攻を抑える。門が閉じなかったら。閉じても魔軍の勢いが衰えなかったら。その時は、騎士団全員討死してでもカレンとペンホールズの住民を船に乗せて、北へ逃がす覚悟だ。]