[彼も自分と同じように、ガルーの細胞を投与されているとは。死者の聲を聞く異能を身に着けてしまっているとは。だからこそ、戦場を離れても大丈夫な保証などないことは知る由もないまま。 あの時は、告発はせず、見逃した。脱走兵であった彼を見逃したと、本国に知れれば。私自身も罰を免れ得ぬと、覚悟してでも。助けたかったから。私と同じように、傷つき苦しみ恐怖する彼に。 ――…壊れずに、生きてほしかったから。 ]