居心地の良かった止まり木が名残惜しくてね。
せめて若木のどちらが枝を張るか見届けるまで、と思ったんだが。
このまま互いに枝を伸ばしあうのなら、陰気な歌が書き上がりそうだ。それはそれで詩作のしがいがありそうだけれども。
[>>135 失われつつある安寧を憂う一方で、混沌は蠱惑的な題材でもある。そう思えるのは渡り鳥であるからこそか。]
そういう画家殿こそ、このまま筆が乾くようなら困るんじゃないかい。箱庭の外を描いてみようとは?
一人旅が不安なら鷹匠殿あたりに頼めばいい。旅暮らしにならずとも、落ち着いた頃に戻ってくることだってできるんだよ。
[稀に異国の地でもすれ違う鷹匠と確か懇意にしていたはずだ、と。思い当たって口に出す。王宮勤めというよりも、弟君のことがあればこそ思うところがあるのかもしれないが。
気づけば老成した物言いがすっかり板についてしまったとはいえ、画家の娘はまだ年若い身。これを文字通り、老婆心というのだろう。**]