[周辺の木々の倒れた場所には不定形の黒い影がいた。小山程の大きさもある影は、白い着物を着た少女を捕らえ、飲み込まんとしていた。少女の結い上げた髪とその服装は天界の仙人を思わせる。彼女から感じられるのは、紛れもない、兎から感じた仙花の気配。]その子を離せ![女は鋭く叫びながら影との間合いを詰めて、土気の籠った金瓜錘を小山の端に振り下ろす。痛覚があるかどうかは分からないが、その衝撃で少女の姿を離す事を狙って。*]