[後退していく人間の本隊に追い縋るよう、群れ為す亜人たちも森の手前へ差し掛かる。
両脇の抵抗が減って、一時は押し包まんとするほどの勢いだった。
そこへ横手から矢を浴びた亜人たちはたちまち混乱に陥る。
逃げ出すもの。変わらず人間の本隊を追いかけようとするもの。弓兵を探して殺そうとするもの。それぞれに分かれたために、本隊へと掛かる圧力はずいぶんと減っただろう。
森へ向かったものたちは、たどり着くより先に次々と射落されていく。
だが、彼らは数に任せて遮二無二進むのを試みた。
仲間の死体を盾に、先頭はじりじりと森へ近づいていく。]