[今日、リヒャルトがこんなにも弱々しいのはどうしてだろう。否理由はわかっていた。明日はリヒャルトの、20歳の誕生日。アインパール家の呪われた吉日。それが苦しくて、相手の背中越しに表情を暗くするのだ。抱きしめて、柔く細い髪に指を通しながら。リヒャルトが首筋に歯を立てるのを待つ。もし血を摂ってくれたならば、素直に腕は離すつもりで。]**